マンション選びのポイントは人ぞれぞれありますが、ホームページの管理者である私の場合は、終の棲家として目線でマンションを選びました。
終の棲家としてのマンションを選択
終の棲家(ついのすみか)とは「人生のしめくくりをここで過ごす」と決めた家のことです。
「自宅」を終の棲家として戸建ではなくマンションを選ぶ場合、マンション暮らしの利点を検証し、合わせて豊かで安全な老後を過ごすために必要な住まいの条件とはなにかについて考えてみます。
(戸建て住宅と比べて)維持管理が簡単
戸建住宅では、庭樹の手入れや外壁・屋根の補修といったメンテナンスが意外と大変で、費用もかかります。また、夏場の草むしり、秋の落ち葉掃きなど、マンション住まいにはない重労働的な作業もたくさんあるのです。若く、現役で働いている世代のときは苦にはならないかもしれませんが、高齢になるほどそういった維持管理面の負担感が大きくなると言えるます。
子育て時代には部屋数も面積も広いほどありがたかった家も、夫婦2人もしくは1人住まいになると広すぎて掃除が大変、光熱費が余計にかかる、防犯上も不安である、などといった声が聞かれるようになります。マンションならほど良い広さの部屋で戸建住宅よりは冬場暖かく、カギ1つで戸締まりもOKなどと、高齢者にとって望ましい条件が揃います。
戸建て住宅と比べて、マンションは維持管理が簡単なのです。
独立しているが近所との助け合いも
さらに、大勢の世帯が集まって住むという形態に安心感もあるようです。同じマンションの住人と親しくなれば、なにかあった時にすぐ助けを求めることもできます。物件によっては、マンションの共用の部屋を使って趣味のサークルをすることもできるでしょう。マンション在住の方にお聞きすると、マンション住まいの良さに「同じマンションで家族ぐるみのお付き合いをする人が何組かいること」を挙げる方も多くみられます。そういったマンションならではの特徴は、働き盛りで時間がないときはうっとうしいと感じる方もいらっしゃるでしょうが、高齢になれば逆に心強い利点となります。
このようにマンションには高齢になってから住むのに適した条件が揃っています。子育て期は戸建住宅に住み、子どもが巣立ってからは近くのマンションに入居したご夫婦もいます。とくに高齢になってからは、家には広さよりも、買い物や病院に行きやすいといった利便性やバリアフリーであることなどの安全性がより必要になってきます。それが住みなれた土地であればなおさら良いのかもしれません。
近所付き合いは強制されるものではないですが、一人にならないようにはしたいものです。
老後を快適に暮らすための条件
終の棲家としてのマンションを選ぶポイントですが、これは高齢の世代だけでなく、全ての人に優しい住まいの条件でもあります。
立地の利便性
高齢になると足腰が弱くなり、医療機関にかかることなども多くなることから、駅に近く、道のアップダウンが少なく、日常的な買い物に便利もしくはバス、タクシーが使いやすい場所にあることなどが必要です。
マンションの共用施設
伴侶に先立たれるなどして独り暮らしになった時には、気軽に相談できるような場があると心強いです。たとえばフロントサービスが充実しているマンションであれば安心でしょうし、また、健康に配慮したスポーツジムや、囲碁将棋などといった同じ趣味を持った同世代が集まる場があると楽しく過ごすことができます。
共用部のバリアフリー
最近ではシルバー向けマンションも多く登場していることもあり、一般的にバリアフリー化は浸透しつつあります。比較的最近のマンションであればエレベーターも完備されているでしょう。将来訪れるかもしれない車いすの使用を考えて、道路からエントランスホールまでスロープでつながっていること、外廊下・エントランスホール・エレベーターホールが広めで、かつ手すりがあると安心です。
住戸内部のバリアフリー
住戸の内部でも、車いす使用を考えて基本的に段差がないこと、廊下、主な出入り口に車いすが通れる幅があるなど、全体的にゆったりとした造りであるかチェックします。最低でも寝室は6帖以上の広さがあると良いでしょう。トイレや浴室に手すりがあること、玄関には腰を掛けられるベンチを置くスペースや手すりがあるとより便利になります。
断熱性の高いマンションであること
広さや躯体の構造にもよりますが、一般的にマンションは戸建住宅よりも冬を暖かく過ごせるようです。コンクリート造は木造よりも気密性が高く、マンションでは上下左右の住戸が断熱材の役割も果たすからです。特に高齢になると室温の温度差により冬場のトイレやお風呂でのヒートショックを起こしやすくなるので、断熱性に配慮したマンションを選びたいものです。断熱性が高ければ部屋ごとの温度差が少なく体に優しく、光熱費も安くすみ、夏も冬も快適に過ごせます。
マンションは管理を買え!
マンション管理がずさんだと、資産価値が減少してしまいますが、そうならないようにするために、管理が悪いマンションとは、どんなマンションかについて見ていきます。
理事会の活動状況がわからない
理事会は、管理会社の業務のチェックや、総会で決定した予算に基づく建物の修繕などを行う、重要な役割を担っています。多くのマンションでは、理事会は毎月開催とされていますが、小規模マンションや投資用に購入している方の多いマンションなどでは、開催が不定期というところもあります。円滑な管理組合運営を行うためには、少なくとも2ヶ月に一度程度の開催が必要と思われますが、中には理事会の開催は3か月に1回というケースもあります。標準管理規約に準拠した規約の場合、理事の半数が成立要件となっていると思いますが、「理事会出席者が半数に満たず、不成立(流会)が続いている」といった点が続いているようなマンションは、管理が悪いマンションとしてマイナスポイントとなります。
竣工図などの重要書類の保管状況
建物の維持管理に欠かすことができないのが、建物の設計図書(竣工図)。マンション標準管理規約第32条によれば、管理組合は、建物並びにその敷地及び附属施設の管理のため、宅地建物取引業者から交付を受けた設計図書の管理を行うことが規定されています。しかし、残念ながら設計図書(竣工図)の所在がわからないケースもあるのです。また、保管されていても、汚れていたり、不鮮明で詳細を読み取ることができないこともあります。「復元することができない」「復元できたとしてもとても高額な費用が必要になる」といったケースも少なくありません。所在が不明、復元できないなどの場合、現状の建物を調査することにより図書を作成する方法もありますが、精度の高い図面を作成することは困難なことも多く、費用も高額になります。そもそも、本来あるべき建物の設計図書がないということで、「建物の維持管理への意識があまりないマンション」として管理へに意識の低さからもマイナスポイントとなります。
長期修繕計画の見直しがされているか
以下のような場合はマイナスポイントとなります。
- 国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」の目安を大きく下回っている
- 長期修繕計画と実態に即していない(計画はあるが修繕されていない等)
- 大きな一時金徴収が予定されている
※一時金自体が悪いものではありませんが、計画通りに徴収できるかわかりません。 - 将来的な不足が予測されるにも関わらず、修繕積立金の見直しがされていない
- 長期修繕計画書そのものがない、もしくは計画はあっても修繕積立金の資金計画がない
- 修繕積立金の見直しが予定されていたものの、実際には何度も見送られている
マンション設備の管理状況
例えば、マンションの中には給排水設備が備わっています。給排水設備は貯水タンク、排水槽など給排水を行うための設備です。そんな給排水設備の寿命は一般的に20年とされています。
定期的に管理を行わないと、劣化によって水漏れが発生し、爆裂現象を生じてしまう可能性があります。爆裂現象とは水漏れが膨張した鉄筋がコンクリートの中の鉄筋を腐食させ、膨張した鉄筋がコンクリートを押し出す現象です。
もし爆裂現象が起こると、給排水が断絶する可能性があり、マンション管理組合が積み立てた修繕費用で追加の防水工事をしなければならなくなるため、定期的な給排水設備の管理・メンテナンスが管理会社に委託して実施されているか確認する必要があります。
共用部分の清掃状況
エントランスやエレベーターなどの共用部分があります。共用部分が汚い場合、ごみ置きなどのルールがない状態は資産価値を間接的に下げる原因となります。
細かいところでは、植栽の手入れがされていないことも同様です。こうした状態があると、空室率が上がる傾向にあるようですし、資産価値を下げてしまう要因にもなります。
このような衛生上の問題が起きないようにマンション管理組合で管理規約を確認したり、維持修繕計画を作成し実行する事が求められます。